研究課題/領域番号 |
03670617
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
山本 明 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20144298)
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研究分担者 |
平野 正満 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90208843)
藤村 昌樹 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50115771)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | Pevitoneal metastasis / deseruction of basement Membrane / Prevention of basemet membrane / laminin receptor / receptor ligand / anti-adhesion therapy / YIGSR / TIMP & MMP |
研究概要 |
癌転移巣形成のメカニズムの解明は、癌細胞の基底膜への接着、着床そして基底膜の破壊の防止が転移予防につながることを明らかにした。そこでまずlaminin receptorの形態学的観察を行い、receptorは常時発現しているわけではないこと。また細胞表面全体に発現しているわけではないことを明らかにしえ、receptorの発現が癌細胞の増殖周期と関連していることを推測させた。つぎにin vivoでのreceptor ligandの投与で転移抑制が可能か検討した。lamininの単独投与では生存日数は減少した。lamininとmitomycinCの併用投与では有意に生存日数の延長をみた。そしてこれらの走査電顕的観察では明らかな着床細胞数の差異を確認でき、antiadhesion therapyの可能性を確認できた。lamininとlaminin receptorとの至適配合比は不明で、余剰のlamininが転移促進に作用し、実際的でないことからlamininの細胞接着部位のアミノ酸配列のみを合成したYIGSRをもちい同様の検討を行った。しかしYIGSRの投与ではlaminin投与の実験系のような効果を全く確認できず、癌細胞の種による差異が推測でき、anti-adhesion therapyの臨床応用のためにはreceptor ligandの開発の必要が痛感された。つぎに基底膜破壊の防御を中心にした転移抑制の検討のため、TIMP(Tissue Inhibitor of Metalloproteinase)とMMP(Matrix Metallo-Proteinase)について播種性転移巣形成過程のdynamicsのなかでその変化を観察した。MMPは増殖・浸潤した癌細胞周囲に観察された。TIMPは腹膜に癌細胞の着床がはじまる時期にはすでに漿膜下層で増強し、癌細胞の基底膜穿破や漿膜下層での増殖の時期には漿膜下層での更なる増強と、浸潤癌細胞の周囲に観察された。TIMPの増強は癌細胞の転移・浸潤と期を一にしてみられ、かつMMPとのバランスにより転移・浸潤の性質が規定されることから、転移抑制蛋白としての有用性が示唆された。
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