研究概要 |
健常対照群46例,疾患群23例にトリグリセリド負荷試験を行った。疾患群の手術術式は,胃部分切除11例,胃全摘8例,膵頭十二指腸切除4例であった。まとめは以下のごとくである。 1.トリグリセリドの経口負荷後の血中推移よりTriglycerides Absorption Index(以下 TGA Index)を算出し,健常対照群と疾患群を比較検討した。 2.対照群46例のうち TGA Indexの平均値は1.47であり 年齢による差は見られなかった。 3.胃部分切除群の平均値は1.32で、この内原疾患が癌によるものは潰瘍のそれに比し低値を示した。 4.胃全摘,膵頭十二指腸切除では,各々1.07,1.05と低値であり対照群との間に有意差(P<0.02)が認められた。 5.新たに膵頭十二指腸切除群を胃合併切除したものと幽門輪を温存した群の症例に分け症例を追加して分析したところ後者において術後の消化吸収能がより保持されている知見が得られた。 6.負荷する生クリーム中の脂質成分その成分はトリグリセリド,ジクリセリドで90%以上を占めており,その構成脂肪酸はパルミチン酸28.4-41.3%,オレイン酸37.4-24.7%であった。血中に上昇したトリグリセリド中脂肪酸成分については,リノール酸がやや選択的に上昇している傾向がみられた。 7.ラット膵切除群対照群と比べて,脂質の吸収パターンが遅延する傾向がみられた。
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