研究概要 |
I.脂肪吸収パターンの解析 シュークリーム負荷後の脂肪消化吸収状態をパターン化して,各手術後にその障害の程度を比較検討した.パターン分類はI型;負荷後1時間目に血清TG値が極値を取るもの,II型;2時間目に極値を取るもの,III型;1,2,3時間と漸増するもの,IV型;1,2時間目には変化なく,3時間目に極値を取るもの,V型;1,2,3時間のいずれも負荷前値の10%以内の変化に留まるもの,に分類した. 健常者はIIおよびIII型が90%を占めていた.胃部分切除,膵尾側切除術では健常者と類似のパターンを呈していたのに対し,PD,胃全摘ではIVおよびV型のものが多く見られた. II.動物実験 健常ラット(Wister系雄,体重175-235g)16匹に3gの生クリーム負荷試験を行い,負荷後,経時的に3時間迄血清TG値を測定した. パターン分析ではI型37.5%,II型6.3%,III型31.3%,IV型6.3%,V型18.8%であり,健常人と類似のパターンを呈していた. 膵切除8匹,対照(単開腹)8匹につき術後2週間目に本試験を行った. TGAIは膵切除群で平均3.14,単開腹群で1.36と膵切除ラットでは予想に反し単開腹ラットよりも高い吸収率を呈していた.この理由としては膵切除後の咽頭リパーゼ賦活化が想定され,今後解明を要す課題となった.
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