研究課題/領域番号 |
03670630
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松股 孝 九州大学, 医学部, 講師 (00157348)
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研究分担者 |
池田 泰治 福岡歯科大学, 助手
矢永 勝彦 九州大学, 医学部, 助手 (70220176)
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キーワード | 肝細胞癌 / 肝切除術 / 肝内再発 / リピオドリゼ-ション / ドキソリビシン / 生体反応修飾物質 / OKー432 / 抗血小板剤 |
研究概要 |
肝細胞癌切除後の肝内再発防止対策は肝癌の生存率を向上させるための緊急の課題であり、我々はこれに関連する3つの実験成果を得た。 (1)肝癌再発防止のための術後化学療法に関する実験的研究:WKA系ラットの門脈よりRBTー1癌を移植し、24時間後にアドリアシン4mg/kgを単独あるいはリピオド-ル化し、経動脈的あるいは経門脈的に投与した所経動脈的アドリアシン投与群がラットの平均生存日数延長および肝表面癌結節数抑制効果が最も優れており、肝細胞障害も軽微であった。 (2)肝癌切除後再発防止に関する実験的検討ー抗血小板剤および抗癌剤の併用効果についてー:術中操作により散布された癌細胞の着床を抗血小板剤により抑制し、抗癌剤の効果増強を狙ったものであり、(1)と同様の実験系で、腫瘍移植2時間前にプレタ-ルを経口投与しておく。化学療法は腫瘍移植24時間後にアドリアシン4mg/kgを経門脈的に投与する。プレタ-ルの併用によって肝表面癌結節数はアドリアシン単独投与に比し、有意に減少した。 以上の実験は、正常肝内癌細胞に対する制癌剤、制癌剤と抗血小剤の併用効果を検討したものである。次に、より臨床モデルに近い再生肝内癌細胞に対する制癌剤およびBRM(OKー432)の抗腫瘍効果を検討する。 (3)OKー432 1KEを隔日3回脾臓内投与したラットに68%肝切除を行い、経門脈的にRBTー1癌を移植した。OKー432投与群の生存日数は、アドリアシン4/3mg/kg併用群よりの有意に延長し、アドリアシン単独投与群では抗腫瘍効果は全く認めなかった。即ち、肝不全予防としても用いうるOKー432は、その単独投与で再生肝内癌細胞に対する抗腫瘍効果に優れ、肝再生期での化学療法は肝再生を抑制するのみで、抗癌剤の抗腫瘍効果は認めなかった。今後は再生肝内癌細胞の制癌剤抵抗性の解明とOKー432の作用機序を実験的に解明し、早期臨床応用を目指す。
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