研究概要 |
雑種成犬を用いPYYの腸管および肝血流に対する作用を水素ガスクリアランス法を用いて検討した。空腸血流はPYY800mg/kg/h投与により有意に減少した(P<0.01)、回腸血流はPYY100mg/kg/h投与により有意に減少した(P<0.05)、大腸血流は100,400,800pmol/kg/h投与時に、有意に減少し(P<0.05,P<0.05,P<0.01)、またPYY800pmol/kg/h投与時には非投与群との有意の差を認めた(P<0.05)、肝血流はPYY投与で変化はなく、胆汁流量はPYY投与量依存性の減少がみられた。これらの結果より以下の結論を得た。 1.PYYは腸管の血流を抑制する。 2.PYYの作用は腸管の部位において異っていた。 3.PYYは肝血流へ作用を及ぼさず、その胆汁分泌抑制作用は主に他因子によるものと推察された。 PYYの腸管血流に及ぼす作用について、当初予備実験で予想されていた抑制作用がある事を明らかにした。またPYYの濃度を100,400,800pmol/kg/hと変える事により、当初予想しなかったPYYの作用の部位別差を明かにする事ができた。 PYYは肝血流を抑制する事が予想されたが、実際はPYYは肝血流について影響を及ぼさないことを証明した。また当初は主な目的ではなかったPYYの胆汁分泌に対する作用について、その作用が量依存的に抑制する事を確認した。これらの結果より、PYYの胆汁分泌抑制作用は、肝血流の抑制を伴っておらず、作用機序が血流抑制を伴う膵とは異なっている可能性を示した。
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