研究課題/領域番号 |
03670633
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
千々岩 一男 九州大学, 医学部, 講師 (90179945)
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研究分担者 |
能城 浩和 九州大学, 医学部, 医員
中野 賢二 九州大学, 医学部, 医員
黒木 祥司 九州大学, 医学部, 助手 (30215090)
一宮 仁 九州大学, 医学部, 助手 (10183170)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 肝切除 / 肝硬変 / 血中ケトン体比 / ミトコンドリア / 7a-hydroxycholesterol / ミクロゾーム / フィブロネクチン / 網内系 / Reticuloendothelial system |
研究概要 |
肝ミトコンドリア・ミクロゾーム・網内系機能を反映する血中ケトン体比、7a-hydroxycholesterol濃度、フィブロネクチン濃度を同時に測定して肝機能評価法として検討した。正常ラット及びThioacetamide腹腔内投与により作成した肝硬変ラットに70%肝切除術を施行し、術前・術後1、2、3、7日目に動脈血を採取し測定に用いた。同時に肝重量を測定し肝再生率を計算した。肝再生率は術後1-3日目は差がなかったが、術後7日目は肝硬変ラット群が有意に低かった。血中ケトン体比は術前に差を認めなかった。両群とも術後1日目に低下したが2日目以降回復した。肝硬変群のみ7日目に再び低下し、ミトコンドリアのエネルギー状態悪化と肝再生低下の関連が示唆された。血中7a-hydroxycholesterol値は術前後を通じて肝硬変群が正常ラットに比較して高値であった。両群とも術後1日目に低下し3日目には術前のレベルに回復した。7日目には正常ラットが術前値より上昇したのに対し、肝硬変ラットは術前値と同じであり、ミクロゾームの酵素活性上昇は肝再生度を示唆すると思われた。フィブロネクチン値は術前肝硬変群が正常ラットに比べて有意に低値であった。術後は両群とも1-3日目に上昇し7日目には術前のレベルに戻り、網内系の活性化に伴い増加したと思われたが、肝再生率とは相関を認めなかった。臨床的には2区域以上の肝切除患者を対象とした。全例、術前の血中ケトン体比は正常であり、術日に低下したが3日目には回復した。しかし、その後肝不全に陥った一例があり一時的なケトン体比上昇は完全な肝機能回復を意味しないと思われた。7a-hydroxycholesterol、フィブロネクチン値は一定の傾向を認めなかったが、これは輸血等の要因で最も左右され肝ミクロゾーム、網内系機能を反映し得なかったと考えられ、肝機能評価法としての臨床応用には問題があると思われた。
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