研究概要 |
本年度の研究実施項目別に研究成果を以下に述べます。 (1)分離肝細胞,Kupffer細胞を用いた培養細胞に関わる実験系でのサイトカインの意義 肝実質細胞およびKupffer細胞を分離後,それぞれ単独または混合培養を行ない,経時的にエンドトキシン誘導によるサイトカインの産生性について検討した。肝実質細胞単独においては,サイトカインの産生をほとんど認めないのに対し,Kupffer細胞においては,培養開始後8ー12時間でピ-クとなり,以後24時間目まで漸減した。48時間目では,24時間目の値と差がなく,72時間目値では著減傾向にあった。以上の傾向は,TNFで安定的に観察され,ILー1,ILー6については変動が大きく,とくにILー6は微量定量につき,有意差判定の困難な場合が少なくなかった。混合培養系では,ILー1,ILー6の産生能が亢進する傾向を認めたが充分な観察を終了しえていない。 (2)(1)の実験系に及ぼすCyclosporinーAおよびHydrocortisoneの影響 cyclosporinーA添加によるサイトカイン産生誘導に及ぼす影響を認めなかったが,Hydrocortisone投与により,サイトカインの産生抑制傾向を認めた。しかし,培養時間が長くなるに従ってその傾向は失われ,対照培養群との差は無くなった。 (3)ラットにおける肝移植モデル作製 同種および異種間の肝移植を試みた。研究スタッフの技術的安定を得た時点で,経時的に移植肝の形態学的検討を行なった。形態学的検討については,光・電顕的に行ない,特にリンパ球とKupffer細胞の経時的変化を主として胆管および血管周囲の組織変化の著しい部位と左程変化を認めない部位との比較を行なうことを目的とした。現在,研究が進行中である。
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