研究概要 |
1)徐放性抗癌剤の作製を目的として,臨床応用を考えている水酸アパタイト細粒(以下HAp細粒)は焼成温度800℃にてスプレ-ドライ法により作製されたが、出来上った粒度についての解析では、その粒度は37〜53μmであり、2.5〜2.6m^2/gの表面積を有する多孔体である。このHAp細粒は骨とほぼ同じ組成(燐酸カルシウム)で構成された、生体親和性の優れたバイオセラミックスであり、時間の経過とともに生体内で溶解されることが判っており、今後この経時的変化についても検討を予定している。 2)Donryu ratを用い、AH130腹水肝癌細胞10×10^7個を腹腔内に移植7日後に、HAp細粒200mgを0.5mlの生理的食塩水にて溶解し、腹腔内に投与し、投与後3.7,14,21,28日に開腹し、腹腔内臓器の組織学的所見についても検討を加えた。その結果、投与3日後ではHAp細粒は腹膜の部に小さな白い結節となって認め、線維芽細胞の他、軽度のリンパ球浸潤も伴っていた。投与7日後ではリンパ球浸潤はさらに軽度となり、28日後には線維芽細胞で覆われ、リンパ浸潤も僅かとなり、炎症反応は殆ど消失していた。 3)HAp細粒は大きさ37〜53μmの多孔体であり、より徐法効果が得られる剤型となるHApーCarboplatinを作り、出来上ったHApーCarboplatinについて薬剤の封入がどの程度であるか等について検討中である。
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