研究概要 |
1.Radioimmunodetectionによる膵癌診断 基礎実験(担膵癌ヌ-ドマウス)において抗膵癌モノクロ-ナル抗体Nd2のisotope標識化合物の投与による膵癌のRadioimmunodetectionの診断的有用性を、膵癌臨床例で検討をおこなった。標識モノクロ-ナル抗体(111InーNd2)の投与量法は、種々の検討より2mCi/2mg proteinが適量で、2%アルブミン加生食に混和して投与することが最適条件であることが判明したので、臨床例ではこの濃度で使用した。現在までに、膵癌ならびに膵癌を強く疑った6症例について検討を行うことができた。これらは全例において手術を施工したが、組織学的検索にて膵癌であったのは4例で、そのうち3例において今回の検討で陽性所見がえられた。一方、膵癌でなかった2例では陰性であった。このようにモノクロ-ナル抗体Nd2を応用した膵癌の免疫核診断は、症例数は少ないものの膵癌での陽性率は高く、膵癌との鑑別が困難な良性膵疾患との質的診断のうえでも役立つことが示された。今後、さらに症例をかさねてその臨床的意義について検討を続けていく予定である。 2.膵癌のミサイル治療の基礎的検討 膵癌のミサイル治療の目的で、Nd2を担体とした抗癌剤、isotope(殺細胞性を有する)との結合物の作成を試みており、現在抗癌剤Adriamycinとの結合物Nd2ーAdriamycinをDextran法で調製可能となり、さらに結合後の抗体活性の保持も確認されつつあり、今後in vitro,in vivo(担膵癌ヌ-ドマウス)での効果を検討する予定である。
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