1.Radioimmunodetectionによる膵癌診断:1111n-Nd2による膵癌症例のRadioimmunodetectionの検討を21症例に行った。確定診断が膵癌であった16例の内10例に陽性画像がえられ(sensitivity:62.5%9)、また偽陽性例はみられずspecificityは100%であった。本法は膵癌の鑑別診断や質的診断に有用であることが判明した。 2.Targeting therapyの基礎的検討:Adriamycin結合Nd2のTargeting therapyの治療効果の有用性を担癌ヌードマウスを用いて静脈内および腫瘍内投与で検討した結果、両者とも抗腫瘍効果がみられとくに腫瘍内投与に著明であった。また殺細胞性を有する131-I-Nd2を投与した結果、100muci投与では初期の腫瘍増殖抑制効果のみみられたが、200muciでは著明な腫瘍の縮小(約20%)効果がみられ、組織学的にも効果が確認された。今後これらNd2複合物の臨床応用が期待される。 3.Nd2の腫瘍集積性に関する工夫:Nd2の早期で高い腫瘍集積性と迅速な体内よりの排泄を目的に、F(ad′)2fragmentとIFN-gammaの併用で検討を行った結果、F(ab′)2fragmentの早期の腫瘍集積性とIFN-gammaの集積性の亢進が認められ、RadioimmunodetectionおよびTargeting theraopyへの応用が示唆された。 4.キメラNd2の作成:膵癌の診断、治療におけるNd2の応用範囲を広げる目的で、マウスNd2のキメラ化抗体(mouse-human chimeric antibody)を作成した。遺伝子組換えの手法で作成されたキメラNd2はマウスNd2と同等の抗体活性を有し、免疫組織学的検討でも確認された。今後、キメラNd2の臨床的有用性を検討する予定である。
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