研究概要 |
[研究目的] 食道癌の発生頻度および切除術術後の予後における性差の要因の一つとしてアンドロゲン受容体に着目し,発癌実験系におけるアンドロゲン受容体蛋白阻害剤を用いた治療実験を行なった. [研究実績] 1.AMN10週投与による発癌率 AMN10週投与時の発癌率は,非去勢ラットで54.5%(n=11),去勢ラットで27.2%(n=11)と去勢による低下傾向がみられた. 2.AMN10週投与後10週経過時の発癌率 AMN10週投与後10週経過時の発癌率は,非去勢ラットで88.2%(n=17),去勢ラットで75.0%(n=20)と去訴による低下傾向がみられなかった. 3.AMN10週投与後Flutamide10週投与時の発癌率 AMN10週投与後Flutamide10週投与時の発癌率は,非去勢ラットで54.1%(n=24),去勢ラットで52.1%(n=23)と去勢による低下傾向がみられず,いずれもAMN10週投与後10週経過時の非去勢ラットの発癌率88.2%(n=17)に比べ有意に発癌率が低下した(P〈0.05). 以上よりAMNラット実験食道癌において抗アンドロゲン剤の一つであるFlutamideの発癌抑制効果が認められたことから,食道癌に対する治療効果がFlutamideに認められる可能性が示唆された.
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