本年度は消化管廃用性萎縮を惹起することなく経中心静脈高カロリー輸液(IVH)を行う方法を開発することを目的とした。 【材料と方法】Wistar系雄性ラット(約150g)を用いた。中心静脈にカテーテルを挿入し、IVH群:高カロリー輸液(270Kcal/kg/日)、IVH-B群:高カロリー輸液+Biological Response Modifier(BRM;PSK)経口投与、C群:生食水輸液(カテーテルを維持するため)+飼料自由摂取の3群を作成した。処置開始2時間後に開腹下で末梢静脈血、胸管リンパ液、胸腺、脾、及びパイエル板を採取しリンパ球を分離した後モノクローナル抗体を用いリンパ球サブセット:T、helper/inducer T (Th)、suppressor/cytotoxic T (Ts)、B細胞を検索した。 【成績】体重増加(g/2W)はIVH群5。8±4。9、IVH-B群26。5±15。8、C群53。5±24。6であった。末梢血リンパ球(PBL)及び胸管リンパ球(TDL)では各リンパ球サブセットの比率は3群間で差はなかったが絶対数ではIBH群のT、TH細胞が他の2群と比較するとPBLでは有意に多くTDLでは少なかった。胸腺リンパ球サブセットでは3群間で差はなかったが脾及びパイエル板ではIVH群のT、Th細胞比率が他の2群に比較し低かった。パイエル板数(個)ではIVH群が3±2とIVH-B群9±5及びC群11±7に比較し少なかった。 【結果】IVH群は体重増加が少なくパイエル板も減少し、T、 Th細胞の血流からリンパ組織ならびにリンパ液への移行が抑制された。PSK経口投与は体重増加作用があり、パイエル板を増加させることによりGALTの機能低下をある程度防ぎT、Th細胞の生体内分布を正常化する効果を持つと思われた。
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