研究概要 |
1)粗精製した抗CEA抗体(AB5H2)は抗原(CEA)とのアフィニティーが低いことが判明した。抗体をペプシンダイジェスションによってF(ab')_2にした際に抗原とのアフィニティーが低下することが知られているが,本抗体もペプシンダイジェスションでさらにCEAとのアフィニティーが低下し,F(ab')_2の状態ではウエスタンブロッティングまたはELISA法によってもCEA認識ができにくい状態にあった。ペプシンダイジェスションの各種条件設定が困難な現状で,特に反応時間において最適条件が見出せていない。 2)細胞膜上に表現されるCEAとの反応性をみるために,ヒト大腸癌切除標本を用いた免疫組織染色(ABC法)においても同様の結果であり,本抗体のエピトープの詳細な検討を現在も行っている。 3)ハイブリット抗体作成上ペプシンダイジェスションは必要であるため、今回得られた他の抗CEA抗体クローンであるAB5C10を再度精製し,これをもとにF(ab')_2およびハイブリット抗体を作成中である。 4)現在までのところin vitroにおいて有効な細胞障害活性は得られていない。エフェクター細胞としてはCD3陽性細胞を用いるが、CD8またはCD16陽性細胞についても検討中である。
|