研究概要 |
1、Confluentになった培養血管内皮細胞の半分を機械的に剥離しwound modelを作成した。作成したwound modelの辺縁より遊走する血管内皮細胞をvideomicroscopeおよび顕微鏡写真にて観察しその個々の細胞の遊走距離、形態変化、および細胞全体の遊走面積の観察を行った。コントロール細胞の平均遊走距離は224±153μm/24hours(mean±S.D.)であった。 2、EDTAを加えたZero calcium液では24時間後には細胞の遊離が認められた。遊走距離は111±79μm/24hoursと減少する傾向にあった。0mM,10mMATPでは遊走距離に有意の差は認めなかった。 3、受傷部位周囲の血管内皮細胞の接着分子(ICAM-1,VCAM-1)の発現について免疫染色を行ったが明らかな染色は得られなかった。 4、受傷部血管内皮細胞治癒促進を目的にウシ血管内皮細胞とヒト脂肪組織、ヒト横紋筋、ヒト大網組織、ヒト静脈組織とのcollagen gelを用いてのco-cultureを行った。ヒト組織をコラーゲンゲル内に包埋しその上にウシ血管内皮細胞を重層した。内皮増殖を検討したところヒト横紋筋、ヒト大網組織で内皮増殖作用が見られた。 5、受傷部血管内皮細胞の増殖に注目した基質の細胞親和性検討法として培養血管内皮細胞、線維芽細胞を布性人工血管、ePTFE,グルタールアルデヒド処理生体血管、エポキシ樹脂処理生体血管上に播種しその細胞増殖、形態を検討し、生体親和性の良好なモデルとなることが確認された。
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