研究課題/領域番号 |
03670680
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
原 秀昭 信州大学, 医学部, 講師 (60173069)
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研究分担者 |
小林 茂昭 信州大学, 医学部, 教授 (50020772)
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キーワード | 脳血管支配神経 / 血管周囲神経 / 三叉神経節 / サブスタンスP / カルシトニン遺伝子関連ペプチタイド / 実験脳梗塞 / 自律神経 |
研究概要 |
脳血管外膜には自律神経を始めとする各種脳血管神経が存在することが知られているが、その生理的および病的状況下での存在意義は十分明らかではない。本研究では下記の治療的および病的条件下において、ラットの脳血管外膜における副交感神経を始めとする各種神経の存在様式の変化を形態学的に調べた。 1.グリセロ-ル三叉神経節内注入が脳血管神経に及ぼす影響。 グリセロ-ルの三叉神経筋肉注入が三叉神経痛に有効であることが知られているが作用機序は十分明らかではない。殊に神経伝達物質という観点からの機序解明は全くなされていない。我々は、ラット三叉神経節内にグリセロ-ルを注入し1、2、4週間後に三叉神経節内および脳血管外膜での各種神経の分布の変化を調べ以下の知見を得た。(1)三叉神経節内では注入後4週にわたって、サブスタンスP、カルシトニン遺伝子関連ペプタイドを含有する神経節細胞および神経線維が著明に変性した。(2)脳血管外膜では副交感、交感神経の分布に変化は認めなかったが、サブスタンスPおよびカルシトニン遺伝子関連ペプタイド含有神経線維の分布の低下傾向を認めた。 2.脳血管閉塞が脳血管神経分布に及ぼす影響。 従来の実験動物による報告では、脳血管閉塞は脳血管神経の分布を低下させるとされてきたが、実験脳梗塞の誘発手枝自体が神経分布に影響を与えている可能性が高く、再検討が必要である。各種ラット脳梗塞モデルを用いて、脳血管神経の分布の変化を比較検討し、次の結果を得た。(1)脳血管を外膜側より電気凝固して脳血管閉塞を誘発した場合(田村の方法)、脳血管神経は副交感および交感神経共に閉塞未梢部で消失する。(2)脳血管内にナイロン糸を挿入することにより脳梗塞を誘発した場合(Longaの方法)、閉塞血管外膜の神経分布は変化しない。(3)頸部操作で一過性の脳虚血を招来させた場合(Pulsinelliの方法)、脳血管神経の分布は変化しない。
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