研究概要 |
先ずマウス実験系腫瘍、203グリオ-マ細胞にマウスILー7遺伝子をplasmid vectorを用いて、electroporation法により導入した。これら遺伝子導入腫瘍細胞の内、ILー7高産生株(7G4)および低産制株(7G3)を選択して実験を行った。in vitroにおけるILー7産生能を調べたところ、親株では全くILー7の産生能は認められなかったが、7G4で52.4,7G3で9.8u/ml/10^5 cells/48hrsとILー7の生理活性をその培養上清中に認めた。ちなみにこれら遺伝子導入細胞はin vitroでの形態及び増殖能は親株と変化がなかった。まず同系のC57BL/6マウスを用いて皮下移植実験を行ったところ、親株では10^5個移植すると100%生着したが、7G3では5x10^5個、7G4では10^8個移植しなければ生着しなかった。ついでこの腫瘍拒絶機構が遺伝子導入細胞より産生されるILー7に起因するものかどうか、抗ILー7モノクロ-ナル抗体を同系マウス腹腔内に投与し、移植実験を行ったところ、抗体を投与されたマウスでは高産生株7G4を移植しても、その増殖能は親株よりは抑制されるものの、抗体非投与マウスと比較すれば明らかに増殖が速かった。また、7G3,7G4両株ともに、本来生着しない細胞数で移植したにも関わらず、生着した腫瘍塊も稀に認めた。この腫瘍塊を採取し、遺伝子をPCR法により解析したところ、導入されているはずの遺伝子が欠損していることが分かった。これらの実験事実より遺伝子導入細胞に於ける腫瘍拒絶機構もしくは増殖抑制機構は、明らかに導入されたILー7遺伝子に起因することが証明された。
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