研究分担者 |
金子 稜威雄 東邦大学, 医学部, 助教授 (30057509)
木暮 喬 東邦大学, 医学部, 教授 (80010198)
遠藤 剛 東邦大学, 医学部, 助手
大石 仁志 東邦大学, 医学部, 助手 (60185189)
西川 秀人 東邦大学, 医学部, 助手 (40189270)
|
研究概要 |
ガンマ-・ナイフを凌駕するような、ライナックを用いた脳定位放射線外科装置と方法を開発するのが本研究の目的である。装置のプロトタイプは3年前に出来上っているが今回はこれにheadring固定装置の歪み防止装置を工夫・作製して取り付けた。われわれの方法では脳内病巣の位置決めは横臥位のCT検査で行い、脳定位放射線外科治療は回転イス上の座位で行はれるので,本位変換による頭蓋内の病巣の位置ズレがおこる可能性がある。この点は解明しより正確な治療を行うため、横臥位と座位でCT検査を行う頭部固定装置を工夫・作製し、多数の臨床例が両体位に於ける頭蓋内構造のズレ・移動の有無と程度を研究員遠藤剛が精力的に行っている。現在までに得られたデ-タでは横臥位、座位による頭蓋内構造の位置移動ま胎んとあるが、脳蓋縮のある高齢者、開頭手術を受けた患者などで充分な数の症例で検討を積み重ねて結論を出す予定である。 実際の臨床例でライナック脳定位放線外科治療は,この治療法が末だ試験的なものであることを説明して了解の得られた症例に行い現在までに50症例に実施した。疾患内訳は脳動静脈寄型15例、頸動脈海綿静脈洞瘻1例,海綿状血管腫6例,聴神経腫瘍9例,神経膠腫2例,転移性脳腫瘍17例であった。本治療の効果判定には長期間の追跡・觀察が必要であるが、治療1年以上経過した脳動静脈寄型,頸動脈海綿静脈洞瘻で脳血管撮影で効果のチェックのできたものでは全例病巣の消減を解認できた。転移性脳腫瘍では全例治療後3カ月以内に治療病巣の消減または著明縮小がみられ特に通常は放射治療低抗性の腺癌にも著効がみられた。聴神経腫瘍,海綿状血管腫は本来発育の極めておそいものであるため判定が難かしいが消減または縮小したもの のが可成りの症例に認められた。 今後さらに装置の改良に努めるとともに臨床経験を重ねてこの治療法の完成と普及に力を注ぎたい。
|