研究課題/領域番号 |
03670692
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 栄修 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (40142723)
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研究分担者 |
武田 直樹 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (80227032)
金田 清志 北海道大学, 医学部, 教授 (60000957)
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キーワード | バイオメカニクス / 全腰椎 / 不安定性 / 三次元動態解析 / 生体力学 |
研究概要 |
【総括】ヒト新鮮屍体全腰椎を使用して腰椎構成要素の各種靭帯、椎間板、椎間関節の損傷モデルをつくり、各損傷状態における腰椎不安定性の三次元的評価を行った。さらにこの実験結果より、腰椎部の不安定性を示す新しい指標を検討した。 【方法と結果】次の腰仙椎部損傷を順次に作成し、各損傷状態で三次元動態解析を行い、各損傷の全腰椎動態に対する影響を検討した。(1)後方靭帯と関節包の損傷、(2)椎間板損傷、(3)椎間関節損傷。屈曲、伸展、側屈動態で最も腰仙椎部の可動域が増大したのは、椎間板損傷後であった。回施動態で最も可動域が増大したのは、椎間関節損傷後であった。実験学的に脊椎の動態を示す指標の一つにNeutral Zone(Panjabi)の概念がある。今回の実験では、Neutral Zone(NZ)の可動域(Range of Motion;ROM)に占める割合(NZ/ROM*100(%))を腰椎の不安定性示す新しい指標として検討した。Neutral Zoneそのものが脊椎不安定性の要素を含む概念で、同じ可動域を示す腰椎でも、その可動域中のNeutral Zoneの占める割合の大きい方が不安定性が大きいと考えられる。実験結果より、非損傷の正常腰椎ではこの新しい指標の値は20%以下で、上記の各損傷を加えるごとに各動態でこの値は統計学的に有意に大きくなっていった。今回の実験結果より、本指標は腰椎の不安定性を表し得る一つの指標であることが示された。この研究成果は、1992年米国シカゴ市で開催された国際腰椎学会で発表した。今後の研究の展開は、今回の研究成果より得られた脊椎不安定性を示す上記記載の指標と損傷された脊椎構成要素との関係の解析を継続し、さらにこの指標を臨床的に応用する方法を検討することである。
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