研究課題/領域番号 |
03670693
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡 一郎 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80004878)
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研究分担者 |
神谷 則昭 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (50204631)
藤田 晉也 東北大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70004819)
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キーワード | 体表先天異常 / 唇裂,口蓋裂 / 表記法 / 分類 / 遺伝 / 家系内発生 |
研究概要 |
これまで我々は唇裂、口蓋裂の裂形態の3次元表記法を考案し、これを本研究で得られた唇裂、口蓋裂症例526例に適用して、全ての唇裂、口蓋裂症例が本表記法によって矛盾なく唇成分裂、唇口蓋裂、口蓋裂の3群に分けられることを示し(日本形成外科学会会誌13巻8号)、また、発端者と家系内発生者の裂型の比較から唇成分裂と唇口蓋裂は同一疾患であることを示した(第35回日本形成外科学会学術集会)。しかし、同一疾患である唇成分裂と唇口蓋裂の間で性比が有意に異なることに疑問が残ったので、唇成分裂と唇口蓋裂の症例における性比の差異を詳細に検討し、(1)唇成分裂群では裂が切歯孔まで達する完全裂例で男の割合が39%と著しい低値を示している(2)口蓋成分の裂度を無視して、唇成分の裂度のみから唇成分裂と唇口蓋裂の症例をまとめた場合、唇成分裂と唇口蓋裂の症例の間の性比の差異は消失するという結果を得たので、これらの結果を矛盾なく説明するため「唇口蓋裂は唇成分の完全裂に2次的に口蓋裂を伴ったもので、唇成分裂の男では口蓋裂を伴い易く、女では口蓋裂を伴いにくい」という仮説を提唱した(第1回日本形成外科学会基礎学術集会)。 今年度は本研究でえられた症例の家系調査から唇裂、口蓋裂の遺伝様式は閾値のある多因子遺伝であると結論し、遺伝力はそれぞれ62%、54%と算出し、この遺伝力から家系内発生の予測値は唇裂では近縁係数1/2の親戚で2.4%、1/4の親戚で0.6%。口蓋裂では近縁係数1/2の親戚で0.9%、1/4の親戚で0.2%と算出された。次に、本研究で得られた家系内発生をみた唇裂、口蓋裂症例、45例の家系内発生の観測値を算出すると唇裂では近縁係数1/2で2.%、近縁係数1/4で0.4%,口蓋裂では近縁係数1/2で0例、近縁係数1/4で0例であり、統計学的にいずれの観測値も予測値によく符合していることが判明した(第36回形成外科学会学術集会に発表)。
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