我々は、実験的にマウス軟部組織にMFHを作成し、その腫瘍の性格を免疫組織化学的手技、培養により、MFHは線維芽細胞由来であることを推定している。また、ヒト骨肉腫材料により免疫組織化学的手技を用い、その僞被膜の抗腫瘍作用を報告してきている。 平成3年度は、DMBA投与により実験的にマウス骨軟部組織に発生したMFHを用いて、MFH腫瘍細胞がin vitroで継代培養が可能であること、継代培養しても核DNA量、プロイディ・パタ-ンさらに病理組織に変化がないこと、マウスに移植された腫瘍には、その周囲に偽被膜が形成されることが分かった。現在、DMBA投与のみではマウスに発生するMFHにバラつきが生じる、すなわち発生しない場合もあるので、MFHを有するマウスの数を確保する目的で、in vitroでMFHを継代培養し増殖させたうえでヌ-ドマウスに移植したり、より腫瘍拒絶反応の少ないスキッドマウスに移植したりしている。ヒトMFH腫瘍株も、継代培養及びヌ-ドマウス継代移植に成功しているので、ヒト材料も実験に加えるつもりである。臨床的にはヒト骨肉腫材料を用いて、僞被膜形成についても免疫組織学的に検討し、僞被膜部位によね炎症細胞の検討を行うと同時に、術前動注化学療法の効果について、X線像、血管造影、Alーp値、病理学的な変化により判定を行った。ヒト骨肉腫症例では抗癌剤の投与により僞被膜線形成が有意に行われ、抗腫瘍効果の一役を担っていることが分かった。
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