研究概要 |
〈目的〉各種の椎間板内療法の効果と修復機転を実験的に検討し、その中で、レ-ザ-髄核蒸散法の可能性を明確にすることを目的とした。 〈方法〉脊索性髄核から線椎転骨性髄核へと移行する点で、最もヒト椎間板に近いと考えられるサルを用い、同一の種、条件のもとで検討した。使用したのはセンクイサル5頭であり、経腹膜的に前方から、chymopapain500u/0.2ml,Chouceroitinase ABC(CHaseABC)2.0u/0.2mlの注入,髄核摘出および10_2レ-ザ-による髄核蒸散を施行した。1週から48週後に屠殺し、病理組織学的(SafraninーO,HーE染色)およびMRI(20T,シ-メンス旭)により検討した。 〈結果〉1〜3週におけるMRIT2強調像での髄核部分の輝度低下は、chymopapain群で著明であり、以下レ-ザ-、髄核摘出、CHaseーABCの順であった。またこの後者3群では12週までに全例その輝度は回復した。chymopapain群では、椎体絡板および骨髄に特徴的な高輝度変化を認めた。1〜3週における病理組織所見では、SafraninーO染色性の低下をchymopapain群で軟骨絡板から線推輪内層にまで広範に認めた。他の3群では髄核に限局し、さらに6週にていずれも染色性の回復を認めた。 〈考察〉椎間板内療法の作用機序は、椎間板内圧の低下とその後の修復再生であると考えられている。MRIT2強調像における椎間板髄核部分の輝度低下は保水能の低下・内圧の低下を示唆し、一方SafraninーO染色性の回復は、Proteoglycanの産生、修復を示すと考えられる。この点において、CO_2レ-ザ-蒸散法は、椎間板内圧の低下、椎間板の修復再生の両面ともに、従来おこなわれている髄核摘出術と同等ないしはそれ以上であり、かつまたchympapain注入より安定性は高いと考えられた。以上より、CO_2レ-ザ-蒸散法はその有用性が高いと考える。
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