二次性変形性股関節症に適合するセメントレス人工股関節ステムのデザインに関する研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03670700
• 研究機関: 福井医科大学
• 研究代表者: 井村 慎一 福井医科大学, 医学部, 教授 (90019886)
• 研究分担者: 竹谷 英之 福井医科大学, 医学部, 助手 (90206996) ; 奥村 康弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (30204150)
• キーワード: セメントレス人工股関節ステム / 二次性変形性股関節症 / Computed tomography / 大腿骨近位骨髄腔 / 三次元立体合成 / ステムデザイン / Micromotion

研究概要

正常例60例90関節、変股症例55例85関節に対し、股関節CT画像の三次元合成による髄腔計測を行った。正常例、前期及び初期変股症例の大腿骨近位部骨髄腔には一定のproportionalityが認められた。しかし、実際に人工股関節置換術の適応になる進行期及び末期変股症例では、大腿骨長に相関を示したものはなく、proportionalityは見られなかった。また、近位骨髄腔の上方広がり度合いの指標として、狭部上端の横径に対する小転子上端の横径の比をCanal Flare Index(以下CFI)として用いたところ、正常例や前期及び初期変股症例に比較して進行期及び末期変股症例ではCFIは広範囲に分布しており、さらに髄腔の幅の増大にともない近位骨髄腔の上方広がりはより小さくなることがわかった。このことより、二次性変股症に適合する人工股関節ステムは、その幅が大きくなるにつれて近位部はよりstraightに近くなるようにデザインされるべきであり、さらに、一つのステム幅に対して何種類かのCFIを持つステムが必要になることがわかった。
次に大腿骨頭壊死症及び大腿骨頚部骨折症例用として、正常人の計測値を基にしてプロトタイプステムを作成し、それを用いて繰返し振動荷重実験を行いステムのmicromotionを測定した。カラ-付きステムよりカラ-なしステムの方が全体的にmicromotionは小さかった。また当然のことながら、ステムの近位部、遠位部共に固定性の良い例がmicromotionは最小であり、先端部にtipを持ち近位部、遠位部のサイズ決定を別々にできるステムは有用であった。

研究成果

• [文献書誌] 奥村 康弘: "二次性変形性股関節症に適合するセメントレス人工股関節ステムのデザインに関する研究(第2報)ー変股症例の近位骨髄腔形態ー" 日本整形外科学会誌. 65. 971 (1991)
• [文献書誌] 奥村 康弘: "セメントレス人工股関節ステムのmicromotionおよび歪み解析(第2報)" 第18回整形外科バイオメカニクス研究会. (1991)
• [文献書誌] 奥村 康弘: "二次性変形性股関節症に適合するセメントレス人工股関節ステムのデザインに関する研究ー正常例および変股症例の近位骨髄腔形態の比較・検討ー" 日本整形外科学会誌. 64. 915 (1990)
• [文献書誌] 奥村 康弘: "セメントレス人工股関節ステムのmicromotionおよび歪み解析" 整形外科バイオメカニクス. 12. 11-15 (1990)
• [文献書誌] 大森 弘則: "2次元FEMモデルにおける人工股関節ステムと骨との境界条件の及ぼす影響" 整形外科バイオメカニクス. 12. 411-416 (1990)
• [文献書誌] 市橋 幸三: "Bipolar型人工骨頭の移動に関する2次元FEM解析と臨床例との比較検討" 整形外科バイオメカニクス. 12. 83-86 (1990)
• [文献書誌] 大森 弘則: "セメントレス人工股関節ステムの境界摩擦層を導入した2次元有限要素法による応力解析" 日本整形外科学会誌. 64. 914 (1990)
• [文献書誌] 大森 弘則: "セメントレス人工股関節の2次元有限要素法による応力解析ー髄腔形態からみた前後・側面の応力解析ー" 日本整形外科学会誌. 63. 1152 (1989)
• [文献書誌] 大森 弘則: "臼蓋の状態におけるBipolar型人工骨頭置換術の応力解析" 整形外科バイオメカニクス. 11. 139-142 (1989)
• [文献書誌] 大森 弘則: "セメントレス人工股関節ステムの髄腔内適合性に関する応力解析" 人工関節研究会誌. 19. 82-83 (1989)
• [文献書誌] 奥村 康弘: "OMNIFLEX stemの使用経験" 第22回人工関節研究会. (1992)