研究概要 |
変股症例55例85関節の股関節CT画像の三次元合成による大腿骨近位骨髄腔の立体的計測より、二次性変股症に対するステムは、その幅と近位部の曲率半径の関係より9種類の異なったものが必要であることがわかった。 まず、大腿骨頭壊死症および大腿骨頸部骨折症例用にすでに作成したプロトタイプステム、Osteonics社製Omniflex stem、J-stemおよびDepuy社製AML stemを用いた荷重実験より、2000Nの大腿骨軸方向荷重下でのステムのmicromotionの最大平均は、それぞれ43.1μm、54.7μm、62.0μm、56.2μmであり、共に近位部上下方向であった。さらに、20Nmの回旋荷重下でのmicromotionの最大平均は、それぞれ38.0μm、48.0μm、55.2μm、67.5μmであり、共に近位部前後方向であった。また、2000Nの軸方向荷重下での大腿骨近位内側部の歪みは、ステム挿入前に比し挿入後ではそれぞれ18.6%、23.6%、25.9%、44.6%に、近位外側部の歪みはそれぞれ25.3%、25.9%、26,5%、34.8%に減少した。 次に、コンピュータシミュレーションを用いたステムと大腿骨骨髄腔の三次元的合成より、大腿骨頸部骨切り部において、二次性変股症用に独自デザインしたステム、Omniflex stem、J-stemおよびAML stemの髄腔占拠率(骨髄腔内に占めるステム横断面の割合)はそれぞれ61.2%、59.8%、56,5%、53.8%、ラスプ率(皮質骨の面積に占めるステムを挿入することにより削られる皮質骨の割合)はそれぞれ1.10%、1.69%、1.30%、5.17%であった。また、大腿骨骨髄腔狭部での髄腔占拠率はそれぞれ75.4%、68.1%、68.6%、74.1%であり、ラスプ率は0.69%、0.68%、0.70%、2.25%であった。 以上より我々が、股関節CT画像の三次元合成より独自作成したステムは、現在一般に使用されているステムに比較して、ステムのmicromotiomは小さく、髄腔占拠率は高くまたラスプ率が小さく、ステムの初期固定性および大腿骨骨髄腔への適合性は良好であった。
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