研究課題/領域番号 |
03670701
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
浜田 良機 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (80096544)
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研究分担者 |
堀内 忠一 山梨医科大学, 医学部, 助手 (60209278)
穂苅 行貴 山梨医科大学, 医学部, 助手 (00229329)
中島 育昌 山梨医科大学, 医学部, 講師 (70057024)
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キーワード | Hydroxyapatite(ハイドロオキシアパタイト) / Artificial tendon sheath(人工腱鞘) / Adhesions(癒着) |
研究概要 |
屈筋腱損傷後3週間以上経過した陳旧性屈筋腱損傷例に対する多孔体ハイドロオキシアパタイト製とアルミナセラミックス製人工腱鞘の癒着防止効果にについて、新鮮例と同様に術後3週から9週にかけて経時的に病理組織学的、さらには腱の滑走性を比較した。なお術後3週まではギプス固定とし、固定除去時に全例とも人工腱鞘を抜去し、その後は自由に運動させている。術後3週での腱の癒合は良好で、多孔体ハイドロオキシアパタイト群とアルミナセラミックス群では、ともに人工腱鞘で被覆された部分では周囲組織との癒着は認めない。しかし人工腱鞘で被覆されていない骨と腱縫合部間には幼弱な線維性結合織による癒着をみとめる。術後6週では、腱の再断裂をみる例はなく、両群とも明らかな間隙が周囲組織と形成されているが、人工腱鞘で被覆した部分と非被覆部の移行部では、新鮮例とは異なり、部分的な癒着をみる。多孔体ハイドロオキシアパタイト群とアルミナセラミックス群では、後者での間隙が、前者に比べ狭いとの傾向をみるが、いずれも腱の滑走性は良好である。術後9でも、術後6週群とほぼ同様な結果で、良好な腱の滑走と、周囲組織との間に間隙をみた。なお人工腱鞘で被覆されない骨と腱縫合部間では線維性結合織による結合をみるが、腱の滑走性への影響はほとんど見られなかった。 以上より、多孔体ハイドロオキシアパタイト製とアルミナセラミックス製人工腱鞘は、受傷後3週以上経過した陳旧例においても、縫合後の癒着防止効果があることが明らかとなった。そして両群間の比較では、前者が後者に比べ腱としゅうい組織間の間隙は大きく、より有用であると考えられた。
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