Bone Gla Proteinの前駆体の骨代謝における意義

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03670704
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 笠井 隆一 京都大学, 医学部, 講師 (20169402)
• 研究分担者: 松下 睦 京都大学, 医学部, 助手 (50229473)
• キーワード: Bone Gla Protein / Osteocalcin / 前駆体 / 免疫染色 / 骨肉腫 / 骨代謝マ-カ-

研究概要

我々は従来より骨特異的蛋白質であるBone Gla Protein(BGP)について、各種骨代謝疾患における血清中BGPの変化を報告し、血清中BGPが骨代謝回転の良い指標であることを認めた。ヒトBGPのDNA sequenceより明らかにされた前駆体、preーproーBGPのproーpeptideーpieceのアミノ酸配列をもとに合成ペプタイドを作製し、これに対する抗血清を得た。この抗血清を用いて免疫組織染色により抗体とのcrossーreactiveantigenーicityを骨組織及び人骨肉腫細胞に認めた。感熟タンパク質であるBGPの局在を免疫組織染色によりヒト骨腫瘍において検討し、骨肉腫、軟骨肉腫においてBGP抗原性陽性でありこの方法が骨腫瘍の鑑別に有効であることを認めた。更に抗proーpeptideーpiece抗体の抗原性はproーBGPと考えられるが、このBGP前駆体の抗原性を骨肉腫においても認め、報告した。BGP前駆体と免疫学的交差性を有する血清中蛋白質は上記抗血清を用いて酵素抗体法により測定を行い加齢に伴い増加することを認めた。尚この前駆体ペプタイドの放射性ヨ-ド化が可能であることが明らかとなったのでより測定の精度を向上させるためradioimmunoassyによる測定を検討中である。
この研究の将来的な発展方向であるBGP geneの発現について、骨よりmRNAの抽出を行いNothern blottingを用いて、正常骨組織中のBGP geneの発現およびデキサメサゾンによるその抑制等の所見を得た。

研究成果

• [文献書誌] R.Iwasaki,T.Yamamuro,Y.Kotoura,H.Okumura,R.Kasai,Y.Nakashima: "Immunohistochemical Study of Bone Gla Protein in Primary Bone Tumors" Cancer.
• [文献書誌] S.Ohota,T.Yamamuro,K.Lee,H.Okumura,R.Kasai,Y.Hiraki,T.Ikeda,R.Iwasaki,H.Kikuchi,J.Konishi,C.Shigeno: "Fracture healing induces expression of the protoーoncogene cーfos in vivo.Possible in volvement ot the Fos protein in osteoblastic differentiation." FEBS. 284. 42-45 (1991)
• [文献書誌] R.Kasai,T.Yamamuro,H.Okumura,Y.Kotoura,K.Kasahara,R.Iwasaki,A.J.Kalm: "Osteocalcin and Proーosteocalcin as Potential Biochemical and Pathological Markers in Human Osteosarcoma." Osteosarcoma Research Conference 1991.
• [文献書誌] 笠井 隆一,奥村 秀雄 山室 隆夫: "オステオカルシン前駆体" ビタミンK機能セミナ-.
• [文献書誌] 池田 俊彦,笠井 隆一 山室 隆夫: "Dexamethasone投与Rat骨におけるBGP geneの発現" 平成3年度厚生省特定疾患特発性大腿骨頭壊死症調査研究班研究報告書.