研究概要 |
歩行時の膝関節の側方動揺の大きさを加速度計で評価する試みを行い、加速度計測法の再現性および信頼性に関する基礎的検討を加えるとともに、膝関節の側方動揺性に及ぼす種々の条件について研究を行い、以下の研究成果を得た。 1)加速度センサーの設置位置および固定方法を検討した結果、脛骨結節部、腓骨頭部、脛骨内顆部での加速度解析結果は画像解析結果とほとんど差がなく十分な精度があり、またセンサーの固定方法では、テープで固定する有用であった。 2)同一対象では日時を変えた測定でも十分な加速度値の再現性が得られた。 3)変形性膝関節症患者では、【.encircled1.】立脚期初期に外側方向への単一ピークの加速度を生じるlateral thrust type,【.encircled2.】内側方向への加速度を生じるmedial thrust type、内外側方向が入り交じったmixed typeの3群に分類された。多くの内側型関節症ではlateral thrust typeを呈し、また外側型関節症では全例medial htrust typeを呈した。 4)膝の側方加速度値は、歩行速度の増加、坂道歩行、重量物運搬歩行などのストレス歩行によって有意に増大した。この増大の度合いは、正常膝よりも関節症膝の方が大きかった。 5)補高厚13mmの内・外側楔状足底板を装着させると、側方加速度値は非装着時に比し有意に変化した。内側楔状補高厚を13mmから10mm,7mmと減少させ、次に外側楔状補高厚を7mm,10mm,13mmと増加させると、それに相関してlateral thrustのピーク値が減少した。また足底板の除痛効果を認めた例に著明なthrustの減少を認めた。 6)高位脛骨骨切り術を受けた20人の患者の加速度パターンを術前と比較し、矯正角との関連を調べたところ、術前に認めたlateral thrustは消失し、矯正角の大きい例ではmedial thrustパターンに変化していた。 7)関節症膝の側方動揺性を減少させる新しい補装具を開発し現在臨床治験中である。
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