研究概要 |
平成3年度に計画していた研究1〜3とそれらの研究実績は以下の如くである。 1.抗HTLVー1抗体陽性患者の膝関節滑膜、とくに細胞性中皮層の電顕組織化学的(微細形態)特徴を、慢性関節リウマチや抗HTLVー1抗体陰性患者のそれらと比較検討してきた。現在までに抗HTLVー1抗体陽性患者に特徴的な所見は見い出されてないが、引きつづき本検索を遂行中である。 2.抗HTLVー1抗体陽性患者の関節液、血液、髄液の抗体価の測定、生化学的検索を行い、デ-タを集績、解析中である。 3.抗HTLVー1抗体陽性と陰性の変形性関節症患者の関節液および血液の生化学的所見、X線所見さらに滑膜組織の免疫組織学的検索を行い、それらを比較検討した。その結果、抗体価の高さとX線上での骨・関節変化の進行度との間には関連性は認められず、滑膜組織の免疫組織学的検索においても、浸潤リンパ球はいずれもT細胞であり、集簇部におけるT細胞のCD4/CD8比にも優位な差は認められなかった。また滑膜組織細胞のHLAーDR抗原の発現に関しても差異は認められなかった。(HTLVー1研究会,1991年5月鹿児島市)。 4.さらに平成4年度に予定していた滑膜の微小循環路としての血液・滑膜関門・リンパ管の微細構造および微細分布について、共同研究者の加藤らの開発したリンパ管の酵素組織化学的同定法(5'ーnucleotidase alkaline phosphatase二重染色法)による検索を行い、本同定法の有用性を明らかにした(日本整形外科基礎学術集会,1991年8月京都市)。また本同定法を用いてヒト膝関節滑膜のリンパ管分布に関して新しい知見を得たので報告した(国際リンパ学会,1991年10月パリ)。
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