電気生理学的手法を用い、腰椎椎間板および周囲組織における感覚受容器の特性を解析することを目的とした。実験には雄の成熟日本白ウサギを用いた。 腰椎椎間板および周囲組織に13個の感覚受容器が同定された。13個中3個が椎間板部に認められた。このうち1個がL5/6椎間板線維論の表層部に、2個が線維論のL5およびL6椎体付着部に同定された。これらの受容器の支配神経線維の伝導速度は平均9.67m/sであり、全てIII群神経線維により支配されていた。3個全ての受容器が160g以上(平均241.0g)の極めて高い機械的閾値を有していた。その他の10個の受容器は腰筋に同定された。腰筋の受容器の支配神経線維の伝導速度は平均8.47m/sであった。10個中7個がIII群神経線維、2個がIV群神経線維、1個がII群神経線維により支配されていた。機械的閾値は、5個が7g-13g、他の5個が5g以下で、平均5.89gであった。 椎間板部に同定された受容器は、いずれも160g以上という極めて高い閾値を示し、III群神経線維により支配されていた。これらの受容器は、組織に対して障害を及ぼす可能性のある極めて強い刺激に反応する侵害受容器として機能すると思われた。一方、腰筋の受容器は、1g以下の極めて低い閾値から、10g前後の比較的高い閾値を有し、IV群、III群、II群神経線維により支配されていた。これらはより弱い侵害刺激に反応する侵害受容器、あるいは圧覚や運動感覚などに反応する固有感覚受容器として機能すると思われた。
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