研究概要 |
ネコを用いて節後繊維である星状心臓神経(SCN)から複合活動電位を銀線双極電極を用いて増幅後、ウィンドコンパレーター付パルス密度変化ユニット(NEC三栄、特注現有)にて5msec毎にスパイク数を計測し、データーレコーダー(SONY、現有)に収録した。これらのデーターは心電図のQRS波形にてトリガーし、アベレージャー(日本光電、現有)にて16回平均加算し、動脈圧波形の各時相におけるパルス密度の変化(以下PDVと略)を解析した。また麻酔薬はハロセン(0.75,1.5%)、サイアミラール(5,10mg/kg)、ケタミン(1,5mg/kg)を投与した。 この結果PDVは脈波の収縮期の前半にかけて活動が増加しており、心臓収縮に寄与しているものと推測された。また脈波が十分立ち上がったあとは圧反射の影響を受けてPDVが抑制されていた。ハロセンおよびサイアミラール投与下では、SCNの自発活動電位は濃度依存性に低下する傾向があり、さらにSCNの群放電が低下して脈波との同調性が低下し、その結果交感神経系のdriveが低下して心筋収縮が減少していた。一方ケタミンでは両者の神経活動は維持されており、交感神経活動への影響は少なかった。 平成4年度予定していた実験の一部はさらに継続研究の予定であるが、星状神経節細胞から記録したin vivoでのcellの数がまだ十分ではない。この理由として(1)cellのサイズが比較的小さく電位をホールドすることが困難である、(2)星状神経節の固定が不十分でありさらに表面を加温したパラフィンで被履しただけであったため実験後半でSGの浮腫や出血のためにSG内の神経細胞質が変性した可能性があった。またプレパレーション中に星状神経節の栄養血管を損傷する可能性があり、投与した麻酔薬が十分到達していない可能性があった。このため実験の重点をcellに対する電気刺激と、血圧変化による応答性に重点をおいて、循環の神経性調節におけるSGの役割をさらに継続研究中である。
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