研究課題/領域番号 |
03670735
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
窪田 達也 自治医科大学, 医学部, 教授 (90048992)
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研究分担者 |
和田 政彦 自治医科大学, 医学部, 助手 (10240558)
大竹 一栄 自治医科大学, 医学部, 助教授 (00092156)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 血中エンドトキシン濃度 / 少量静脈内投与 / 犬 / ケミカルメディエータ / 末梢血白血球数 / 末梢血血小板数 / エンドトキシンの直接作用 / エンドトキシンの間接作用 |
研究概要 |
我々は平成2年度の一般研究(C)に於いて、血中ET濃度や白血球数・血小板数等の推移から、ETショック・モデルの作製には2μg/kgという少量のETで充分であることを報告した。 平成3年度には、このETショック・モデルに於いて種々のケミカル・メディエータをも併せて測定し、次のような研究成果が得られた。ET2μg/kgの少量静脈内投与により、白血球数・血小板数あるいは心拍出量がET投与後30分で既に減少し、これに呼応するように、TxB2・6keto-PGF1αおよびLTB4が有意に上昇し、血清補体価とAT-IIIとは有意に低下した。しかし、ET投与後30分の時点では、高分子キニノーゲンはまだ有意の変化を示さなかった。アラキドン酸系代謝物質は1〜2時間後にピークに達し、以後速やかに前値に戻った。これと対照的に、血清補体価・AT-IIIおよび高分子キニノーゲンは時間の経過と共に単調減少し、ET投与後5時間では三者共に前値の約半分となった。以上のことより、ETの体内侵入により炎症細胞がまず活性化され、その結果として二次的に補体系や凝固・線溶系が活性化されて、DICやMOFに至る臨床経過が説明できると考察した。 平成4年度には、ETの大量(1mg/kg)投与群での上記諸測定項目の推移を少量(2μg/kg)投与群と比較検討し、次のような結論に至った。殆どの測定項目に於いてET投与30分後の測定値で両群間に有意差が認められるものの、項目によっては1〜2時間後以降は必ずしも有意差があると限らないことから、ET投与直後のETの作用部位への直接効果の程度は用量依存性であるが、それ以降の複雑な二次的・間接的効果の程度は必ずしも用量依存性ではない、と考えられる。 したがって、ETの直接作用を検討する場合には、種々の投与量で目的とする測定項目の30分〜1時間程度の推移を、またETショックの全体像の経時的変化を検討する場合には、臨床に近い重症度を得るという意図から少量投与(2μg/kg)が妥当と考えられる。
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