研究概要 |
研究計画に従って今年度は次の項目について研究した。 [研究方法] 従来通り、全身麻酔下のネコの座骨神経と腓腹筋に電極を装着し、最大上刺激下に得られる神経と筋の複合活動電位(compound action potential,CAP)の振幅と、刺激のモードを変えることにより得られる筋CAPの回復曲線(recovery curve,RC)、および2HZ四連反応比(train‐of‐four ratio,TOFR)の減少度から、神経筋接合部の遮断状態を判定した。 [結果] 1)ネコにMgイオンを静注し、その血漿中濃度が正常時の約3倍に達した時、筋CAP振幅はコントロールの25%に抑制されることは前年に確かめられた。今回同時に筋を支配する坐骨神経の一分枝から得た神経のCAPを観察したが、この濃度では何の変化も認めなかった。すなわち筋CAPに生じた変化は神経筋接合部、あるいは筋膜自体へのMgイオンの作用によるものと考えられた。 2)カルシウム拮抗薬であるジルチアゼムを静脈内投与すると、一過性に筋CAP振幅が抑制された。しかしその程度は弱く、かつ短時間であり、臨床上問題になるとは考えられなかった。 3)新しく開発されたステロイド核を持つ筋弛緩薬Rocuronium(Org9426)について従来の筋弛緩薬と比較した。筋CAPのRCは比較的高い位置を占めた。TOFRの値も参考にすると、本剤はVecuroniumに近い遮断態度を示す筋弛緩薬であると推察された。
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