研究概要 |
[研究目的] 筋弛緩薬の作用に影響を及ぼす可能性のある薬剤の作用を電気生理的に明らかにすることを目的とした。 [研究方法] 全身麻酔下のネコの坐骨神経と腓腹筋に電極を装着し、最大上刺激下に得られる神経と筋の複合活動電位(compourd action potential,CAP)の振幅と、刺激のモードを変えることにより得られる筋CAPの回復曲線(recovery curve,RC)、および2Hz四連反応比(train-of-four ratio,TOFR)の減少度、さらに各種頻度での連続刺激に対する反応から、神経筋接合部の遮断状態を判定した。 [結果] 1.抗痙攣薬であるMg^<2+>は臨床で用いられる血清濃度で神経筋遮断作用を示し、かつその安全域が狭い。 2.Mg^<2+>の遮断作用は運動神経終末からの伝達物質放出の抑制が主体である。 3.Mg^<2+>の特徴と比較した場合、非脱分極性筋弛緩薬は神経終末にも抑制作用を持つらしいことが再確認された。 4.新しく開発された筋弛緩薬Rocuroniumは非脱分極性遮断を生ずるが、神経終末に対する作用はVecuroniumと同程度であった。 5.カルシウムチャンネル遮断薬の一つであるDiltiazemは神経筋遮断作用を持つが、その程度は臨床で問題になる程ではないと考えられた。
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