U.urealyticumの16S ribosomal RNA遺伝子に相補的なoligonucleotideを合成し、伸長用プライマーとして用い、PCRをおこない15株のU.urealyticum臨床分離株から177bpのDNA断片の増幅が確認された。C.trachomatis、N.gonorrhoeae、M.hominis、M.pneumoniae、その他尿路感染症の原因となるE.coliなどのグラム陰性桿菌やグラム陽性球菌のDNAを用いた場合には、PCRにてDNAの増幅は認められなかった。PCRによるU.urealyticumの検出感度は、4.4×10^2コ/PCRであった。PCRによるU.urealyticumの検出方法は、U.urealyticumに特異的で、感度においても優れた検出方法であり、DNAの抽出から、電気泳動によるDNA断片の確認まで約6時間で可能であり、迅速性においても優れた方法であった。非淋菌性尿道炎においては検体採取時に患者に苦痛を与えない初尿を用いた診断法が主流となりつつあるので、男子尿道炎患者の初尿沈渣からのPCR法によるU.urealyticumの検出を行なった。男子尿道炎患者46例の初尿からPCR法およびT-broth法によるU.urealyticumの検出を試みたが、PCR法によるU.urealyticumの検出結果のT-broth法の結果に対する陽性一致率は68%(15/22)であり、陰性一致率は100%(24/24)であった。U.urealyticumのPCR法による検出率が、T-brothによる検出率より低値であったことから、尿の何らかの成分によるPCRの抑制に伴う偽陰性あるいはU.urealyticum以外の細菌によるT-broth法における偽陽性の可能性があった。そこでT-brothにより赤変した培地をT-agarにて培養し、U.urealyticumの同定を行い、さらに、尿成分によるPCRの抑制を防ぐために尿検体からのDNAの抽出方法の再検討も行なった。
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