研究概要 |
C3H/Heマウスの背部皮下に継代移植されているFANFT(N-4-5-Nitro-2-Furl-Thiazo-lyl-Foramamide)誘発膀胱癌MBT-2の細胞浮遊液をマウスの尾静脈より注入して肺転移腫瘍を作成し、同時に下大静脈を阻血し脊椎骨骨転移モデルを作成した。この腫瘍に対して移植2日目よりM-VAC(methotrexate,Vinblastin,Adriamycin and cisplatin)療法を行ない腫瘍移植後21日目に、BrdU(Bromodeoxyuridine)を投与してS期細胞を標識したうえで屠殺しその肺と骨に腫瘍形成が認められればホルマリン固定を行ないパラフィン包理し、ビオチン化抗BrdUモノクローナル抗体を用い酵素抗体法によりLabeling index(LI)を算出する予定であったが、うまく染色されず転移巣における細胞増殖動態を検討することができなかった。また頭蓋乱切法で作成した腫瘍では化学療法の効果は明らかでなく、その腫瘍の成因から骨転移モデルとしては適切ではないと思われた。また下大静脈をクランプして形成される転移性骨腫瘍は我々の検討では、その腫瘍形成率が約30%と低くまた、抗癌剤の投与量を2倍にして検討も加えたが投与量の増量のみでは明らかな抑制効果を認めず、投与量の増量では体重減少が大きい傾向にあったことから単純な投与量の増加は副作用の増大につながるものと思われた。これまでの実験から治療の困難な転移性骨腫瘍に対する実験的治療やその生物学的特徴を解析するためにはより転移性骨腫瘍の形成率の高い実験モデルの作成が必要ではないかと思われた。
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