研究課題/領域番号 |
03670766
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
深谷 孝夫 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (80133974)
|
研究分担者 |
千田 定則 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (00241604)
村上 節 東北大学, 医学部, 助手 (20240666)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1993
|
キーワード | 初期胚発育 / 2 Cell Block / Free Radical / Scavenger / 細胞外マトリックス |
研究概要 |
体外受精胚移植法は、難治性不妊症にたいする最終的な治療法として、広く応用されてきた。しかし、体外受精胚移植法の成功率はいまだ満足される程ではなく、特に受精率.着床率の改善の必要がある。本研究では、実験モデルを作成し、1)初期胚と卵管内膜共培養法における初期胚の発育、2)着床期子宮内膜実験モデル作成および実験モデルと初期胚との共培養、3)初期胚発育と培養環境中のfree radical-scavenger系の関連、4)初期胚着床後の子宮内膜の環境要因の一つである細胞外マトリックスの局在を研究目的とし、今後の体外受精胚移植法の妊娠率向上のための基礎的検討を行い、以下の結果を得た。 マウス初期胚発育と培養卵管内膜共培養 体内で受精した初期胚は、卵管内を移動中に卵管内膜との間に何らかの情報を交換の上、初期胚発生が促進する。家兎卵管内膜培養細胞とマウス初期胚との間に、液性因子のみを通過させるcell culture insertsを挿入し、初期胚発生を検討した結果、接触の有無にかかわらず初期胚の発生率には差を認めなかった。さらにIGF-1は、初期胚発育に促進的に関与することが明らかとなった。 着床期子宮内膜実験モデル作成および実験モデルと初期胚との共培養 初期胚着床機序を解明するため、偽妊娠マウス脱落膜細胞を培養し実験モデルを作成した。脱落膜腫誘起後4-5日目に採取した脱落膜は、estradiol,progesteroneに対する結合部位が最大になるとともに、光顕的あるいは電顕的に脱落膜由来のendometrial stromal cellの特性が認められ、さらに本モデルと初期胚を共培養したところ、60%のblastocystが培養細胞へ接着した。今回確立したモデルを応用することにより、初期胚着床機序の解明がさらに進むことが期待される。 マウス初期胚発育とfree radical-scavenger系 マウス初期胚は、通常の環境下では2細胞期胚で発育が停止し(2 cell block)、その原因の一つとしてfree radicalが考えられる。free radicalを消去する強力な物質であるbilirubinに着目し、種々の濃度のマウスbilirubinを添加し、通常の酸素濃度下にマウス初期胚を培養した。その結果、bilirubin添加培養系で2 cell blockが解除されるとともに、その後の胚発育も観察され、今後のヒト体外受精治療上有用な知見が得られた。 ヒト脱落膜における細胞外マトリックスの局在 初期胚の着床や着床後の妊娠維持には、異なる細胞間同士の相互作用に細胞外マトリックスの局在は重要と考えられる。本研究では、細胞外マトリックスの一つであるテネイシンの局在を、正常あるいは流産症例の子宮内膜を用いて検討した。その結果、流産症例の子宮内膜間質に著明にテネイシンの局在が観察され、テネイシンが変性あるいは壊死に陥った組織の再構築や修復に関与することが示唆された。
|