研究概要 |
子宮内膜症患者における血中PP_<14>,CA130,CA602値を測定した。PP_<14>については血中値測定のためのEIAを競合型固相法により新たに組み立て,健常男性,健常非妊婦,正常妊婦,各種婦人科疾患患者で血中PP_<14>値を測定した。正常排卵周期を有する女性の血中平均値は5.0ng/ml,標準偏差6.3ng/mlで,男性の平均値3.0ng/mlより有意に高値であった。月経周期との関係では分泌期とくに月経直前に有意に高値(10.5ng/ml)であり,正所性子宮内膜の分泌期に明瞭な局在が認められた免疫組織学的結果を裏付けた。正常妊婦においては全妊娠期間で非妊時より高値を示したが,とくに第1trimesterで他に比して有意に高値(360ng/ml)を示し,hCG,CA125と同様の変化であった。各種婦人科疾患患者における血中PP_<14>値は子宮内膜症を除いてすべて低値で,内性,外性子宮内膜症患者においてはそれぞれ44%,20%の治療前血中高値率であった。しかしCA125のそれぞれ83%,36%に比して低値で,PP_<14>は子宮内膜症のスクリーニングマーカーとしては不適と思われた。上昇例においてはその後の治療経過をよく反映し,モニタリングマーカーとしては十分使用可能であった。CA130の健常非妊婦,正常妊婦,各種婦人科疾患患者における血中値を測定した。正常排卵周期婦人では月経期にやや高値を示したが、有意差は認められなかった。正常妊婦においては第1trimesterで他に比して有意に高値(68.2U/ml)を示した。各種婦人科疾患患者ではCA125同様子宮内膜症で平均110U/ml,高値率64%と高値を示し,治療経過もよく反映した。悪性腫瘍患者では悪性卵巣腫瘍とくに漿液性嚢胞腺癌患者で平均461U/ml,高値率75%と高値を示し,CA125と全く同様の結果であった。CA602についての結果も同様であり,CA130,CA602の子宮内膜症マーカーとしての臨床的有用性が示された。
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