ラット子宮のエストロゲンレセプタ-、およびプロゲスチンレセプタ-につき検討を行った。28日令ラットの子宮を摘出し、10%グリセロ-ルトリスバッファ-でホモゲナイズし遠心、サイトゾルを採取しエストロゲンレセプタ-とした。プロゲスチンレセプタ-についてはジエチルスチルベステロ-ル投与後24時間で子宮を摘出し、同様にサイトゾルを採取した。レセプタ-のアッセイには庶糖密度勾配遠心法(SDS)、およびセファデックスLH20カラムを用いる二つの方法で検討した。エストロゲンレセプタ-にステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、アラキドン酸(20:4)、ドコサヘキサエン酸を加えSDSで検討するとレセプタ-とエストラジオ-ルの結合が阻害された。阻害の強さは炭素数が多いほど、また二重結合が多いほど強いようであった。またアラキドン酸で検討すると阻害の強さは用量反応的であった。また二重結合を持たないミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)、アラキジン酸(20:0)、の阻害作用はほとんど認められず、この阻害作用に二重結合の存在が重要であると考えられた。プロゲスチンレセプタ-について検討するとやはりSDSでパルミトオレイン酸(16:1)、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸によりレセプタ-とR5020の結合が阻害され、アラキドン酸によるこの阻害は用量反応的であった。またエストロゲンレセプタ-と同様に脂肪酸の炭素数が多いほど、また二重結合が多いほどこの阻害作用は強かった。セファデックスLH20カラムを用いてエストロゲンレセプタ-に対するアラキドン酸の阻害作用をスカッチャ-ドアナリシスで検討すると、この阻害作用は競合阻害ではないようであった。またプロスタグランディンE_2で検討してみると、エストロゲンレセプタ-についてもプロゲスチンレセプタ-についても全く阻害作用はなかった。
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