研究課題/領域番号 |
03670773
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 医学部・産婦人科学, 講師 (50126223)
|
研究分担者 |
鎌田 周作 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80169606)
麻生 武志 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60093176)
|
キーワード | エンドセリン-1 / ブタ顆粒膜細胞 / 細胞培養 / ステロイド産生 / 細胞内情報伝達系 / エンドセリン受容体 / ノーザン解析 / 卵胞液 |
研究概要 |
平成4年度までの成績では、endothelin(ET)-1はブタ顆粒膜細胞培養系においてProgesterone(P)分泌を有意に上昇させたが、estradiol(E_2)分泌には有意な変化を与えず、この作用発現には、細胞内情報伝達系として細胞内カルシウム濃度[Ca^<2+>]_iの変化と細胞内イノシトール燐脂質代謝系が関与することが示された。またブタ顆粒膜細胞におけるET-1受容体の検索では、単一で高親和性のET-1受容体が存在することが証明された。平成5年度には、ブタ顆粒膜細胞からのET-1産生・分泌機序に焦点を絞り、ブタ中・小卵胞より得られた顆粒膜細胞からの培養液中のET-1濃度を特異的RIAにて測定し、顆粒膜細胞からのET-1分泌を証明した。それに加え、分子生物学的手法により細胞内におけるET-1のmRNAレベルでの検討を行なった。培養顆粒膜細胞から抽出したpoly(A)^+RNAについてヒトプレプロET-1のcDNAをプローブとしてNorthern解析を行ない、ET-1の合成能を証明した。この報告は、Journal of Endocrinological Investigation(1993)に掲載された。さらにヒト卵胞液中にも高濃度のET-1が存在し、小卵胞(直径15mm以下)由来の卵胞液中では1028±350pg/ml、中卵胞由来では698±283pg/ml、大卵胞由来では515±200pg/mlで、小卵胞からの卵胞液中が最も高いことが示され、この報告はHuman Reproduction(1993)に掲載された。以上により、ブタ顆粒膜細胞から合成・分泌されるET-1の顆粒膜細胞に及ぼすparacrine/autocrine作用が証明された。生殖領域において卵巣とともに重要な臓器であるヒト子宮内膜や脱落膜においても、ET-1の合成・分泌能、ET受容体の存在、細胞内情報伝達系やET-1の生物活性などが証明され、Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism(1992)に掲載された。このように本研究により、卵巣顆粒膜細胞の機能調節へのET-1の影響にとどまらず、女性生殖領域におけるET-1の広汎な役割についても総合的に解明された。
|