今年度は亜鉛コプロポルフィリンによる羊水塞栓症診断の臨床応用を主な研究主題とした。高速液体クロマトグラフィ-とC_<18>カ-トリッジカラムによる測定方法を検討した。 1.高速液体クロマトグラフィ-による亜鉛コプロポルフィリン測定 短時間で精度良く亜鉛コプロポルフィリンが溶出する条件を検討したところ、アセトニトリルと燐酸緩衝液の混合液が亜鉛コプロポルフィリンを正確に他のポルフィリンと分離させることが判明した。またその比が1:4のときに短時間(retension time4分)で亜鉛コプロポルフィリンのピ-クが得られることがわかった。羊水塞栓症の4例の血清をミニポアフィルタ-で濾過後高速液体クロマトグラフィ-に添加し上記の緩衝液で溶出するとすべての例で36nmol/l以上の亜鉛コプロポルフィリンが検出された。それに対して正常妊婦の血清中亜鉛コプロポルフィリンは殆どは検出感度以下で、検出されても36nmol/l未満であった。このアッセイ系を用いて現在他病院も含めてフィ-ルドトライアル中である。 2.C_<18>カ-トリッジカラムによる簡易測定キット開発 高速液体クロマトグラフィ-は測定機器が高価でありまた使用法は必ずしも容易ではない。そこでベットサイドでも使用可能なキットの開発を試みた。高速液体クロマトグラフィ-の原理を応用しC_<18>カ-トリッジカラムを利用し血清中の亜鉛コプロポルフィリンの溶出を調べた。血清に一定量の亜鉛コプロポルフィリンをくわえそれをC_<18>カ-トリッジカラム添加しアセトニトリル:燐酸緩衝液=1:4で溶出すると滴下3滴ー6滴で亜鉛コプロポルフィリンが溶出されそれを濾紙に吸着させ紫外線ランプをあてると亜鉛コプロポルフィリン特有のオレンジ色の蛍光が観察された。70nmol/l位の感度であり、さらに条件を工夫すれば血清中亜鉛コプロポルフィリンの簡易測定法が可能と考えられた。
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