研究概要 |
胎便・羊水中Znコプロポルフィリンの生理的意義の解明 Zn-コプロポルフィリンは胎便・羊水中の特異物質であるが,その濃度は症例により異なる。Zn-コプロポルフィリンを母体血中で測定し,羊水塞栓症の診断を行う。本研究にとって羊水・胎便でのZn-コプロポルフィリンの動態を見ることは必須である。多数例の羊水・胎便を集め,Zn-コプロポルフィリンの濃度を測定しZn-コプロポルフィリンの羊水中,胎便中での意義を検討した。 i)胎便中Zn-コプロポルフィリン 胎便中Zn-コプロポルフィリンと出生時体重の間に正の相関を認めた。また生後早期に便中のZn-コプロポルフィリンは低値となる事が明らかになった。アルカリフォスファターゼ値と胎便中Zn-コプロポルフィリンの間にも正の相関を認められZn酵素の活性化にZn-コプロポルフィリンが関与している事が示唆された。また胎便中Fe動態とZn-コプロポルフィリン量が関連することが明らかになり,今後胎便中Zn-コプロポルフィリンが胎児におけるヘム及びZn動態の指標になる物質である事が予想された。 ii)羊水中Zn-コプロポルフィリン 羊水中Zn-コプロポルフィリン値は89.0〜1634.7nmos/lの間に分布していた。羊水混濁例では高値をとるが,羊水清澄例でも高値例があり,Zn-コプロポルフィリン値と羊水混濁の有無が必ずしも一致しないことが判明した。
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