(1)臨床検討:夜間にのみProlactin(PRL)分泌の異常増量を示すNocturnal hyperprolactinemia(NH)患者、及び間脳下垂体に器質的な異常を認めず、しかも日中のPRL値が30〜60ng/mlを示すModrate hyperprolactinemia(MH)患者を対象とし、MelatoninとPRL分泌関連を検討した。いずれの疾患群も、夜間のPRL値は正常群に比し早期より分泌の増量を開始し、しかも著明な分泌の増量を示した。一方、Melatonin分泌は、MH群では血中濃度、増量パタ-ン共に、正常群と差は認められなかったが、NH群では、早期より増量を開始し、ピ-ク値も正常群に比し著明な増量を示した。このMelatoninーPRL分泌パタ-ンは睡眠因子を除外した暗条件下でも再現されることから、夜間のPRL分泌に対してMelatoninが強く関与していることが明らかとなった。更に、血中Melatoninが極めて低値で推移する日中に、Melatoninを内服負荷することで、MelatoninーPRL分泌関連を検討すると、MH群では、間脳ー下垂体のMelatoninに対する感受性が亢進していることに、またNH群では夜間のMelatonin分泌の著明な増量に、その機序が求められることを明らかにした。 (2)基礎的検討:Melatoninのprolactin分泌機構を明らかにするために、卵巣摘除、成熟雌ラットを用いて検討した。Melatonin100μgを頚静脈より投与することで投与後40〜60分にピ-クを示すPRL分泌の増量を示した。下垂体門脈血中レベルのDopamin量となるように頚静脈よりDopamin0.4μg/kg/minを連続投与するとPRLの有意の低下がみられた。更に、この条件下でMelatoninのPRL分泌作用はDopamin示を有する機序によることが強く示唆された。
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