研究概要 |
卵管におけるプロスタグランディン(PG)合成の解明を目的として、PG合成の律速酵素であるホスホリパーゼA_2(PLA_2)活性を測定し、さらにPLA_2活性の卵巣性ステロイドによる調節につき検討した。 1.家兎卵管上皮細胞におけるPLA_2活性の測定:卵管膨大部上皮のPLA_2活性は、卵管峡部の活性と比較し有意に高かった。この部位による差異は卵管のPG濃度が峡部より膨大部において高いとする報告と一致したことより、膨大部上皮のPLA_2活性が卵管のPG合成に重要な役割を果たしていることが示唆され、この結果は下記の雑誌に掲載された。 “Regional Difference of Phospholipase A_2 Activity in the Rabbit Oviductal Epithelium."by T.Morishita,M.Nozaki,M.Sano,M.Yokoyama,G.Nakamura and H.Nakano;Prostaglandins Leukotriens and Essential Fatty Acids,47:199-202,1992. 2.家兎卵管膨大部上皮PLA_2活性の卵巣性ステロイドによる調節:去勢後の家兎にエストロゲン(E)、プロゲステロン(P)およびEに引き続くPの投与を行い非投与群と比較した。Eは家兎卵管膨大部上皮のPLA_2活性を上昇させ、PはEの前処置下にそのPLA_2活性を減少させることが示された。この結果より、卵巣性ステロイドは家兎卵管膨大部上皮のPLA_2活性を介してPG合成を調節し、排卵後の平滑筋収縮や線毛運動を制御している可能性が示唆された。この結果は下記の雑誌に掲載された。 “Changes in Phospholipase A_2 Activity of the Rabbit Ampullary Epithelium by Ovarian Steroids."by T.Morishita,M.Nozaki,M.Sano,M.Yokoyama,G.Nakamura and H.Nakano;Prostaglandins Leukotriens and Essential Fatty Acids,48:in press,1992.
|