研究概要 |
〈目的〉視床下部性無月経では下垂体卵巣系の機能は保たれており、GnRHの律動的分泌障害が存在すると推測される。そこで高感度測定法を用いて視床下部性第二度無月経症例の律動的LH,FSH,PRL分泌パタ-ンを日中覚醒時のみならず夜間睡眠時においても調べ、視床下部性第二度無月経の病態分類を試みると共にその臨床的意義について検した。〈方法〉16歳から27歳の視床下部性第二度無月経13例(原発性5例)に対して、日中覚醒時および夜間睡眠時に各々4時間連続採血し、10分毎の分画における各種下垂体ホルモンを測定した。なお、測定の変動係数の3倍以上の増加をもってピ-クを形成したときpulseと定義した。〈成績〉1)LHのパルス頻度によって日中、夜間ともにパルスが見られない思春期前型(1群)、夜間のみパルスが見られる思春期型(2型)、日中パルスの少ない移行型(3型)、日中夜間共にパルスがある成人型(4型)に分類が可能であった。2)LH基礎値は1、2群では昼夜共低く、3群では夜間に有意な上昇が見られ、4群では昼夜ともある程度のレベルを示した。また、LHRHに対する反応性は3、4群で良好であった。3)FSHでは各群共に昼夜の差は見られなかった。4)PRLパルス頻度は各群で、夜間に増加が見られ、PRL基礎値は夜間で上昇するが、3、4群で著明な上昇を認めた。また、TRHに対するPRLの反応は3、4群で増強する傾向を示した。5)E_2基礎値は1、2群では極めて低いが、3、4群では1、2群に比して高い値を示した。6)3群の4例中1例、4群の4例中2例で6カ月以内に病態の改善がみられた。〈結論〉視床下部性第二度無月経の根底をなす原因はLHパルスの減少であり、日中覚醒時と共に夜間睡眠時のLH分泌パタ-ンにより従来診断し得なかった本病態の重症度分類が可能であった。この病態分類は予後を知る上でも1つの指標となり得る。
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