研究概要 |
1.胎児血中IGF結合蛋白のligandblotting 臍帯血のligandblotではIGFBP‐1,IGFBP‐2,IGFBP‐3およびIGFBP‐4の4つのIGF結合蛋白が確認された。デンシトメーターによる各IGF結合蛋白の相対的濃度の解析ではIGFBP‐3が最大であり、全IGF結合蛋白の70〜80%を占めた。早産児では満期産の正常発育児に比較しIGFBP‐2濃度が多く、IGFBP‐3濃度は少なかった。同様に、満期産の胎内発育遅延児では満期産正常発育児よりIGFBP‐1,IGFBP‐2濃度が高く、IGFBP‐3濃度が低かった。満期産の巨大児ではIGFBP‐3濃度が満期産正常発育児より多く、一方IGFBP‐2およびIGFBP‐1濃度は低かった。このように、胎児の在胎週数および発育程度に応じて胎児血中のIGF結合蛋白の動態が大きく異なることが明かとなった。 2.胎盤細胞培養系における糖の取り込みに与えるIGF‐Iの影響 満期産の胎盤絨毛細胞にIGF‐Iを添加すると、2‐deoxy‐D‐glucoseおよびO‐methyl‐glucosseの胎盤細胞への取り込みが時間およびIGF‐I量依存性に増加した。また、2‐deoxy‐D‐glucoseおよび非代謝性アミノ酸であるaminoisobutyric acidをあらかじめ絨毛細胞に取り込ませておき、IGF‐Iを添加すると時間依存性にこれらの物質の細胞内からの放出が促進された。これらに事実より、IGF‐Iは絨毛細胞のアミノ酸、糖の取り込みおよび放出の双方に関与していることが示唆された。 3.胎児血中IGF‐I、インシュリン、GH、GH結合蛋白の測定 臍帯血中IGF‐Iは妊娠週数とともに増加し、IGF結合蛋白のうちIGFBP‐1と逆相関した。また、インシュリンとIGFBP‐1値の間にも逆相関がみられた。
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