研究概要 |
内耳性めまい疾患の代表であるメニエ-ル病患者の重心動揺については既に多くの報告がある。1測性前庭機能異常による1側性メニエ-ル病は左右方向主体の動揺が認められる。病変が両側に及ぶにつれて次第に前後方向の動揺が主体になる。欧米では両側性は初診時10%程度であるが、10年後には25ー30%増加すると報告されている。さらにメニエ-ル病には発作期・準発作期・緩解期があり特に緩解期にはめまいを自覚することがなく、重心動揺でも異常を認めにくい。このように潜在性のあるメニエ-ル病患者も含めて適切な負荷刺激を加え、異常な反応を誘発させるために25Hz,50Hz,63Hz低周波数音刺激を加えることによりメニエ-ル病の病態である内リンパ水腫によって起こると考えられているアブミ骨底板の偏位から起因すると推論される異常な前庭脊髄反射を重心動揺速度について解析を行った。この結果1側性から両側性メニエ-ル病への移行過程が一層明確にとらえられると思われた。以上の要旨は第50回日本平衡神経科学会総会にて発表した。既にAnn.Otol.Rhinol.Laryngol.100:976ー983,1991.にて刊行されているTullio Phenomenon and postural stability:Experimental study in normal subjects and patients with vertigo.近々低周波数音刺激および圧刺激によるメニエ-ル病患者の重心動揺についてを投稿予定である。この低周波数音刺激に加えて圧負荷した状態ではどうなるか。25Hzー63Hz低周波数刺激が果たして適切なものであるか今後の検討課題である。
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