平成3年度は、主に血流量測定装置を用い、上気道狭窄時の指尖部血流量の変化を検討した. 検討症例は、上気道狭窄患者7例で、睡眠ポリグラフ検査の結果は以下の如くである. 1.閉寒型および混合型睡眠時無呼吸発作episodeに際して、換気再開約3秒後に指尖血流量の一過性低下がみられた(6例).この一過性の指尖血流量の低下をdiphenomenon of blood flow(DBF)とよび、1時間あたりの出現回数をDBF lndexと定義すると、睡眠時無呼吸症候群とその他の群との間で比較してみると、睡民時無呼吸症候群のほうがDBF lndexは有意に高かった。 2.上気道狭窄の非出現期において、指尖血流量が一過性に低下する現像がみられた(6例). 3.一例のみこれらの所見があてはまらない例があり、その例では、睡眠時無呼吸の出現期および非出現期ともに規則性を全く失った指尖血流量の変化が認められた. 以上の結果から、睡眠中には、血流量の自動的調節能がある一方、上気道狭窄状態ではやはり何らかの機序によって、末梢血流の変化がもたらされていることが示唆された.また規則性のない指尖血流量変化を示す例がみいだせたことから、睡眠中に自働的調節能自体が破綻をきたす状態が出現してくる可能性があることが示唆された.よってこのような症例に対してはさらに検討を進めるべきであると考えられた.
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