研究概要 |
末梢血リンパ球と癌細胞との混合培養により,癌抗原に対するTリンパ球が選択され,さらにインタ-リュウキン2(ILー2)で活性化して自己癌に対するキラ-細胞を誘導する過程で,リンパ球の形態がどのように変化するか検討した。頭頸部癌患者のリンパ球をマイトマイシン処理した自己の癌細胞と混合培養し,自己癌を認識させた後,ILー2にて増殖させ,その自己障害活性,細胞表面マ-カ-と形態の変化を経時的に観察した。1)自己癌に対する細胞障害活性は培養時間に依存するような活性の増強が見られたが,Daudi,K562などの細胞系に対しては,いずれの培養系でもILー2に依存した誘導が観察された。2)細胞表面マ-カ-の観察では,10日間の混合培養で表面にILー2のレセプタ-が増加しており,NKまたはLAK細胞のマ-カ-は減少していた。3)形態的観察では,10日間の混合培養で小型のリンパ球が多く細胞内顆粒も少なかったが,ILー2でさらに増殖されることによって,リンパ球は少し増大し,表面に微絨毛が増加し,細胞質内顆粒が見られるようになった。しかし,混合培養せずにILー2だけ培養したLAK細胞は,大型で,長い微絨毛を有し,細胞質内顆粒を豊富に持ち,キラ-細胞とは明らかに異なる形態を示していた。10日間の混合培養を行なった細胞は,LAK細胞とは明らかに異なる形態を示しており,細胞傷害性T細胞(OTL),またはCTLの前駆細胞と考えられた。
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