研究概要 |
頭頚部癌患者のリンパ球をマイトマイシン処理した自己の癌細胞と混合培養し自己癌を認識させた後、インターリユウキン2(IL-2)にて増殖、その表面マーカーと形態の変化を経時的に観察した。10日間の混合培養では、表面にIL-2のレセプターを発現しており、形態的には小型のリンパ球が多く細胞内顆粒も少なかったがIL-2でさらに増殖させることによって、リンパ球は少し増大し、表面に微絨毛が増加し、細胞質内顆粒が見られるようになった。しかし、混合培養せずに、IL-2だけで培養したLAK細胞は、大型で長い微絨毛を有し、細胞質内顆粒を豊富に持ちキラー細胞とは明らかに異なる形態を示していた。 次にこれらのキラー細胞を舌癌患者に栄養血管である舌動脈を介して注入後、組織を採取し光学顕微鏡及び電子顕微鏡を用いて組織学的観察を行った。癌巣の周辺部には強いリンパ球の浸潤があり、癌巣の内部にも浸潤している像が観察された。さらに電顕による観察では癌巣の基底膜をリンパ球が通過していく像が観察され、癌巣の内部には光顕で観察されたより多くのリンパ球が見られた。これらのリンパ球は小リンパ球が主体であり、試験管内で観察されたほどは微絨毛の発達はないが、核の切れ込みなどキラー細胞と類似の所見が見られた。細胞表面マーカーは、CD8,CD4陽性T細胞について検討したが、いずれの細胞群も癌巣周囲に強く浸潤していた。
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