視覚誘発電位を用いた弱視患者の視機能評価のため、高時間周波数領域におけるsteady state VEPにつき高速フーリエ変換、逆フーリエ変換を用いた評価を試みているが、従来の方法では時間がかかり患児の検査が困難であった。今回リアルタイムスペクトルアナライザを用いることにより、単位時間当たりのサンプリング量を増やすことにより、視覚誘発電位の波形サイズ(512-1024サンプル/秒)では、毎秒5-10回のスペクトラムプロットが可能になり、短時間での検査が可能になり、患児の検査が容易になった。平成3年度は、リアルタイムスペクトルアナライザのコンピューター本体への組み込み、サンプリングのタイミングの設定、解析のタイミングの設定、記録の光磁気ディスクへの保存など解析機を動かす上での条件設定のためのソフトウェアの開発を行った。平成4年度は、視覚誘発電位の時間周波数を検査するための、最適の空間周波数特性、コントラストの設定を施行するため、5人の正常人を被験者として測定を実施したが、測定結果に個人差が大きく、条件設定に至らなかった。平成5年度は、未治療の不同視弱視患者の時間周波数特性を検討した。空間周波数は、視覚誘発電位が最も大きくなるとされている視角10-20分のうち視角10分を用い、コントラストは、コントラスト感度が飽和した状態での検査を意図し、80%を用いた。4-10才の治療前の不同視患者15例につき、時間周波数10、12、14、16、20HzにつきVEPの振幅を高速フーリエ変換を用いて検討した。10Hzにおいて健眼視力0.3-0.6の弱視眼、視力0.2以下の弱視眼刺激によるVEPの振幅に有意の差が認められた。リアルタイムスペクトルアナライザを用いることにより単位時間当たりのサンプリング量を増やすことにより、短時間での検査が可能になり、患児の検査が容易になった。
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