研究課題/領域番号 |
03670843
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 文雄 東北大学, 歯学部, 助教授 (10162710)
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研究分担者 |
鈴木 進 東北大学, 医学部, 助手 (70216399)
門馬 祐子 東北大学, 歯学部, 助手 (00191073)
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キーワード | ヘルペスウイルス / 禁止クロ-ン / 免疫 / 口腔感染 / 口腔免疫 |
研究概要 |
予備実験において、HSVー1型の感染経路によって、マウスの生死に差があることを見いだしたが、今年度は次の成果を得た。 1.(1)強毒株HSVー1ーGC^+(GC^+株)をBalb/cマウスの腹空に接種した場合、致死的でLD50=1.5x10^2 Plaque-forming Units(PFU)である。 (2)しかし、上顎歯肉(n=34)及び背部皮下(n=10)に各々1.6x10^6PFUを接種した場合、いずれも死亡率が零である。2.ウイルスの拡がりを知るため、GC^+株を接種後、脾臓、肝臓、膵臓、胸腺、頭蓋、及び血清を調べた。(1)腹空接種では3日目に脾臓(2/3匹)から、5日目に頭蓋(4/4匹)及び膵臓(1/3匹)からウイルスが分離されたが、他臓器からは分離されなかった。(2)一方、歯肉接種では頭蓋(1/4匹)のみからウイルスが分離された。3.(1)弱毒のHSVー1ーF株(F株;5X10^6 PFU)は、歯肉及び腹空接種で致死的でない。しかし、歯肉から接種後、Cyclophosphamide投与によりマウスの100%が死亡した。(2)F株のIP接種後、前記臓器について調べたが、3日、5日目共にウイルスは分離されなかった。4.GC^+株を接種後、肝臓内の禁止クロ-ンの出現を調べた。歯肉及び腹空接種において、ほとんど禁止クロ-ンが認められなかった。 以上の結果から、1.口腔及び皮下には、HSVに対する防御機構の存在が示唆された。2.この機構は免疫抑制剤で無力化される。3.腹空接種されたGC^+株は脳内に致り、脳炎を惹起すると考えられる。4.歯肉接種されたGC^+株は三叉神経に致達するが(同株は三叉神経節に入ることが我々によって確認されている)、中枢神経には致らないと考えられる。 今後、ウイルスに対する口腔および皮下の免疫機作について検討の予定である。
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